ここ最近はさぬきうどんがブームだ。

全国に本格的なさぬきうどんのチェーン店ができ

いつでもどこでも本場の「さぬきうどん」が食べられるようになってきた。


しかし、そうであっても

「本場」のパワーはすごいらしく

私の周りでも実際に香川までわざわざ足を伸ばして(地理的に近いというのもあるが)

うどんを、さぬきうどんを食べに行く人たちが結構な数いるのだ。


彼らは香川から帰ってくるともれなくうどんに「かぶれて」いる。

そして、いかに香川の本場のうどんが美味しいかをわざわざ教えてくれるのだ。

さらに、彼らは

「お前らの食べているのはうどんじゃない。いや、食べ物じゃない」

などといったことを言いふらし、ご丁寧にどうやって香川まで行くかというようなことを教えてくれる。


もはやここまで来ると、何が何だか分からない。

香川に行ってうどんを食べてきたというのは実に分り易いが

お前が食っているのはうどんじゃない、とは。

「じゃあ何なのか」

と問えば

「小麦粉だ」

という答えが帰ってくるのは目に見えている。



そんな私は以前香川に行ってうどんを食べてきて

そのことをこのブログに書いたことを今思い出したのだが

http://roadmovie.ldblog.jp/search?q=%E3%81%86%E3%81%A9%E3%82%93

読み返してみると、なんと希薄で面白みのない記事だろうか。(他の記事も特に面白くはない)

これは、私がさぬきうどんに

それほど強烈なインパクトを受けなかったことを如実に示しているのではなかろうか。


つまり、こういうことだ。

さぬきうどんを食べに行って必要以上に感動してしまう人はおそらく

立ち食いそばやのうどんや、ソフト麺のようなものしか食べたことがなかったのではないのか。

家庭で小麦粉を足で踏んでうどんを作ったこともなければ

それなりのうどん屋に行ってうどんを食べるということもなかったのでは無いだろうか。

微妙に伸びたような締りのないうどんしか食べたことがなかったに違いない。


もしくは、私が味音痴であるかだ。

これは仕方ない。

だから余程のグルメで知識人でないと香川でうどんは楽しめないはずだ。



なんというか

美味しいと感じるかは雰囲気なのではないか。

そもそも、小麦粉単位の味なんて普通の人はわからないし

麺にコシがあるといっても、あの程度のコシなら別に香川に行かなくても味わえると思う。

ダシがうまいなんて、それはうどんじゃなくてダシの話になってるし

香川に行ってセルフでうどんを食べたという

その雰囲気がうどんをより一層美味しくしているに違いない。


私はというと、香川は地理的に近いというのもあって

うどんがセルフというのは普通に知っていたし

さぬきうどんなるものは食べたことはあったし

近所のうどん屋に食べに行ったり家で小麦粉からうどんを作ったこともある。

うどんをわざわざ香川まで食べに行くなんてどうかしている

そういうところが確実にある。

だから、さぬきうどんチェーンにうどんを食べに行く気にもならないし

昼飯に冷凍のうどんを茹でようという気にも余りならない。

(ああ、俺はうどんが好きじゃないのかもしれない)


大体日本三大うどんというのがあって(諸説あるが)

さぬきうどんだけフィーチャーされるのも納得がいかない。

なんなんだ、その「うどんの本場」というのは。

手延うどんも知らないくせに、香川に行っただけでうどん通になった気がする。

どこの店が美味いだの、行列に並んだだの

そんなことは知ったこっちゃない。

「美味い店」ってなんだ。

他の店だってさぬきうどん作ってるんだろう。

好みじゃないか。


「いや、行ってみろよ。うまいから」


「うどんだけ」食べに香川に行くのはちょっと。

あくまでうどんは「ついで」

香川県はもっとほかの観光資源を活かすべきなのでは。



それより、蕎麦が食べたい。

私は蕎麦派だから

蕎麦をメインに据えて、出石なり出雲なりにいくのは悪くない。

だが蕎麦は意外と高いし、「香り」というハードルも高い。

でも、蕎麦は美味しい。

そうだ。

蕎麦が好きだ。